思い出と言う程でもないメロディー(その1)

二十代に聴く機会の多かった音楽をふと振り返りたくなった。
別段ドラマチックな出来事があったでもなく、歌を聴くと思い出に涙が溢れて止まらないという事も無い。
ただ、中古CD屋で懐かしい曲を見掛けてははした金で買って帰る今のワタシが、あの頃の‘何も選ばなかった自分’を振り返るのも一興かと。それだけ。


まずは
川崎真理子『失恋はつかれる』('93.9)

カキーン カキーン バッティングセンターガッツ入れて
こんなことぐらいで何よっていえる根性つけよう

大学の4年だったワタシは卒論の実験も佳境に入ってきて、夜中か明け方にアパートに戻る日がしばしば続いた。
夜食か朝食を買いに寄った近所のローソンで頻繁にかかっていたのがこの曲。
間延びした歌声にも、そこはかとなく凛とした女の子の底力。
22歳になったばかりのワタシはただただ「あぁ、何かかなわないや」と独りごちるだけだった。

さよならしてはじめてわかることがあった
幸せを見逃さないことが 愛する力

今でもかなわなかったり。