悪い文例

奈良の“たらい回し”の件、今度は救急隊員からのコメントが出てきた。
  「苦渋…」妊婦死産 搬送の救急隊員語る(6日;産経新聞)
過剰に感情に訴えようとする報道姿勢がありありとタイトルに現れているが、いかんせん内容が伴っていない。

「橿原市醍醐町のスーパーで急病」。同組合通信指令課から同署に搬送指令があったのは、8月29日午前2時47分
(中略)
スーパー入り口前のベンチで横になっていた妊婦は「昨日の晩から出血しています。痛い…」と訴えた。
(中略)
「大阪の高槻病院に連絡がついた。搬送してください」。約1時間半後の同4時19分、中村さんはハンドルを握った。

この部分の情報から見ると、患者の対応にそもそも問題があったのではないかという見方をせざるをえない。
「昨日の晩から出血」してる状況でスーパーに行って何をどうしようというのか分からない。
交渉待ちよりも出血をほったらかしにしてた時間の方が長いのではないだろうか。
加えて

付き添いの男性は「一度家に帰って朝に近くの病院に行きたい」と答えた。

当事者の割には異様なまでに切迫感が無い。
よほど状況把握が出来ていないのだろうか、夜中にのこのこスーパーに出かけるだけの事はある。


受け入れ拒否した病院を叩くのがこの報道の主旨ならば、患者の行動に正当性を持たせるような事実をどこからか引っ張ってこないといけないと思う(個人情報云々でぼやかしたまま収束するだろうけど)。
メディア全体のムードに合致していれば、こんな原稿でも通してしまうのネ。
お涙頂戴の記事もろくに書けないのか。


それにしても、病院以外の言い分は実に事細かに書いてくれる。
新聞って本当に素晴らしい。