なにを今さら感

帰宅後にテレビをつけると、丁度このニュースを流していた。
  分娩の妻、死因は診断ミス=夫が奈良の町立病院提訴−妊婦たらい回し・大阪地裁(23日;時事通信)
民放4局をザッピングすると、どこのローカルニュース枠も一様にこの件を報じていた。
(NHKの報道については天漢日乗さんのところで画像つきで解説されてるのでそちらを参照のこと。)
ほぼ一様に以下のような問題提起で構成、すなわち全面的に遺族サイドの主張を無言のうちに肯定する感じ。

・死亡した妊婦が意識不明になった後で仮眠を取り、転院を決めるまでの間ろくに検査・治療を行なわなかった担当医の怠慢
・遺族へ満足のいく説明をせず「提訴するならどうぞ」とまで言ってのけた病院の態度
・ネット上へのカルテ(個人情報)流出

二番目についてはどうせ「言った」「言わない」の水掛け論になるだろうから、部外者が意見を述べるには値しない。
ただし、他の問題については事情が異なる。
まるっきり引用とか借用でアレなのだが、医療過誤云々については昨年10月の時点で
  真相を考える - 新小児科医のつぶやき
に示すような検討がネット医師の間で為されているし、その検討のソースになったm3.comへの情報流出云々についても
  物証発見 - 新小児科医のつぶやき
で説得力のある推測を示している。
上記の推測が正しいかどうかについては法廷の経過を様子見だが、こうしたネット上での意見(イコールマスコミ批判なのだが)に対してマスコミが一切反証しようとしないのでは、彼らの検証能力/姿勢に信頼を寄せようがない。
「くやしかったら何とか言え」なのだが、どうやらそんな意識はさらさらなさそうである。


本来なら、国立循環器病センターしか受け入れ態勢が取れないような末期的状況が真っ先に議論されるべきなのだが、その国循ですら崩壊しつつある今となってはもはや何をかいわんや。
それと、関西テレビ「アンカー」では適切な評価のできる第三者機関(直接刑事裁判に持って行くような形でなく)の必要性をキャスターが軽く述べて締めたが、それまでの映像の構成を思い起こすと実に説得力に欠ける発言である。