受験と教育はまるきり別物であったか

芋ヅル式に増えていく。

高校必修 未履修11県66校 7000人超、補修検討(26日;産経新聞)

場当たり的に対処するだけの時間が残っているのかいないのか中途半端なタイミングである事が混迷に拍車をかけているような気がする。
2月くらいなら今年度の卒業生は諦めて次年度以降で対応しようという気にもなるが、この時期だと深く考えずに補修の予定を組めてしまうのが辛い。
さて、「補修なんぞやっとる暇があるかいっ!」と突っぱねる事は現実問題として可能なのだろうか。
上記記事の中に文科省からのコメントとして

「法令に反する学校運営であり、関係者は重く受け止めてほしい」

とあるが、Wikipediaの記事には「学習指導要領の法的位置づけ」として以下の説明が付いている。

各教科の単元の構成やその詳細が指示されているが、法令ではない。
しかし、学校教育法施行規則に基づいて定められているため、その効力については議論があるが、裁判所の判例によると、一部法的拘束力とするには不適切な表現があるものの、全体としては法的拘束力を有する、と判断されている。

微妙な言い回し。
開き直って補修を取り止めにして教委との間で大モメになる高校もいくらか出そうなので、何校か裁判に持ち込んで最高裁まで上げて欲しいものである(最高裁判例はけっこう拘束力があるし)。


そういえば、生徒指導要録に世界史履修済と虚偽の記述を行なった件については、実施者および監督者(教員・学校)に対し何らかのペナルティが課される事はあるのだろうか?


ひとまず、過去から積み重なった教育指針と受験システムの不整合について、早急に改善の努力を見せて欲しい。
歴史に学ぶとはそういう事だと思う。




追記;
状況整理のため学習指導要領に挙げられている必修科目を以下に記す。
①社会科は合計3科目
  「公民」・・・現代社会/倫理政経のいずれか1科目
  「地理歴史」・・・歴史学A/Bのいずれか1科目
日本史A/B、地理A/Bのいずれか1科目
②理科は合計2科目
   ・理科基礎、理科総合A/Bのいずれかから1科目
   ・上記科目に加え、物理/化学/生物/地学のうちから1科目
理系だと受験に際し「物理・化学」「生物・化学」など理科2科目を課される場合が多いので、基本的に上記必修枠プラス1科目を受けている必要がある。1科目しか要らない社会科を減らして1コマ確保しようという考えは現場からすればこのうえなく自然。受験の結果が教師の査定にも響くだろうから。