20年
1989年の僕は受験生だった。
今まで同じスピードで回っていると思っていた友達の時計がそれぞれの時を刻み始めた頃。
行きつけの本屋で参考書など漁っていた僕は、ふと有線から流れる歌声に心を引き寄せられた。
1969の僕は君を好きになって
時はあれから光のように
歌の中では、20年前の片想いが色褪せずに息づいていた。
1989の僕はポニーテールの頃の
まぶしい君にずっと片想いさ
今の僕のこの気持ちを、10年経っても20年経っても思い出すことができるだろうか。
そんなことを考えた。
愛なんて幾つになっても 近すぎて見えない
見えないまま20年が終わり、また新しい20年が始まる。