朝も早よから婆さんが訪ねてきて言うことには

AM6:45。
紅茶を飲みながらアンニュイな気分でニュースなど観ていると

♪ピポーンピポーンピポーン
♪ピポーンピポーンピポーン

こんな時間にドアチャイムを早押しする輩は何者か。

コンコンコーン、コンコンコーン
コンコンコーン、コンコンコーン

いや、チャイムの方が聞こえるから。



ドアスコープを覗いても人影は見えない。
投げやりな気分でドアを開けてみると、そこに佇むのは80程の老婆。


「娘はおらんでしょうか」
はぁ?


人に物を尋ねるときはまず自分から名乗れ、と普段なら言う所だが
起きぬけで冷静な判断ができぬまま話につきあってしまい


「3階に入っとる言うてんです、3階言うたらここしかないから」
「電話かけて聞いてみたら?」
「電話番号知らんのです」


確かに近辺に3階建ての賃貸住宅は他になく、エリアを間違えていない限りはここを当たるのがリーズナブルではある・・・と納得してどうするよ俺。


とりあえず話の流れから把握できたのは

・娘の所在について酷く断片的な情報しか知らない
・にも関わらず、早朝から娘を探し回る事情がある


2〜3年前に夜逃げっぽい状況で空いた部屋があったので、あるいはその部屋の関係かな・・・とか思ったりもしたのだが、整合性のあるストーリーが今ひとつ思いつかない。
とりあえず会社の同僚に意見を求めたところ

「ボケてんじゃないすか?」

ならばよし。