いい買い物と評価しても良かろう

ちゃんと派遣されるのなら。
寄付3千万円で医師2人派遣、兵庫県が鳥取大医学部に依頼(4日;読売新聞)


それにしても、僻地の医師不足を医療側の“わがまま”“努力不足”として見る向きがあるようだ。
声になっては出ていないが、まだまだ多数派であるように思える。

兵庫県が鳥取大に医師派遣を要請 - 徒然なるままに永田町を見てみる

県を越えた医師の派遣要請自体はとてもよいことでしょう。
しかし寄付3000万円というのが少しおかしいのではないでしょうか?

3000万円という額は若手産科医2人分の年棒に相当するので、金額的にはおかしくないと思う。
むしろ今の雰囲気で派遣してくれるなら倍でも安いものである。
地方財政が苦しいから安値で我慢しろという論理は通じない。

確かに医師としても生活環境が都会と違って整っていない場所に行くのは抵抗を感じるでしょう。
ですが、医師の役目は患者を助けることにあるはずです。

どんな医師にとっても大事なのは今目の前にいる患者である。
僻地に移るには、今抱えている担当の患者を全て他に割り振っていかねばならない。
見えない遠くの患者のために目の前の患者を振り切るのは結構こたえると思う。
普通のサラリーマンの転勤と同じような見方はできないのだ。


確かに医師が僻地を嫌うこともある。
ただ、その理由は決して医師のわがままばかりではない。
都会の病院の方が症例のバリエーションが多く最新医療に触れる機会も作り易いので、若手中堅問わずスキルアップには望ましい環境であるのだ。
医療が日々進歩していく中で医師としての劣化を防ぐには、それ相応の環境に身を置くことが必要なのだ。

そして大学は医師を育てる教育機関であると同時にその成果を社会にもっと還元するべきではないでしょうか?

基礎研究など目立たない形の還元もなされている。
そもそも大学病院は研究とそのフィードバック先である高次医療が本筋であることを忘れてはならない。
派遣は基本的に高次医療に必要なスキルを養うためのもの(あるいは情報・技術交換の人的ネットワーク構築)であって、人手不足解消のためではない。



あと播磨在住の立場から。
広域医療体制としては播磨は大阪圏、但馬は鳥取圏と見なすのがリーズナブル。
この際、県の枠は忘れよう(そもそも県単位で考えてどうこうなる問題ではない)。